NPOメディカルヘルスケア療法協会

NPOの公式ブログとして 〝病気になりづらい身体づくり〟健康をテーマに信頼性が高いエビデンスがしっかりとした研究を基にした論文を分かりやすくお伝えし皆様が正しい知識を日頃のヘルスケアに役立てもらいたいと考え日々発信していきます。

腸内環境と小麦

 


腸内環境や細菌は現代社会における病気の根本である

[現代人の腸内環境変化]先進国では近年喘息・アレルギー・自己免疫疾患の患者数が増加しています。これは医学の発展により多くの病名が認識されるようになったためにそう診断される患者数が増えただけなのだろうか?それとも本当にこれらの疾患を持っている患者数が増加したのだろうか?残念ながらその答えは後者ではないだろうか?私ははその原因として現代人のマイクロバイオータ(私たちのからだを取り巻く微生物の総称)に変化が起きていることに今回は注目して考えてみたい、現代人の腸内細菌は多様性が失われてしまっています。ゆえに、いくつもの疾患に苦しめられることになっているのだという事も現代科学で少しずつあきらかになってきている。その一例としてたとえば、北アメリカではグルテン(植物性たんぱく質)不耐症の患者数が増加している一方でグルテンだけを抽出した料理の多い中国や日本ではグルテン不耐症の患者数は多くない。これは、北アメリカの人々におけるマイクロバイオータの生態系に危機が迫っていることを示しているといえるのではないだろうか?

[我々と腸内微生物との関係を少し説明してみよう]地球上には多くの微生物が存在しておりそれは太古からまったく変わっていないが微生物とは細菌や古細菌といった微小な生物の総称であり地球上の細菌をすべて足しあわせると動植物の種の数をすべて足し合わせた生物量よりも多いといわれておりある試算によれば地球上にいる細菌の総数は5ノニリオン(5のあとにゼロが30個つく)個にもなるといいます。微生物は新しい環境にただちに適応する能力を持っており地球上のあらゆる生物の体に棲みついている。当然、人間も例外ではない私たちの皮膚を含むあらゆる体腔にも微生物は存在します。なかでも多くの微生物が集中して棲みついているのが消化器系であり微生物は食べ物と住処をもとめて人類の体内に侵入しそして、人類と微生物がともに進化していくうちに微生物は私たちの体にとってなくてはならないものになったのが現在まで続いています。テレビなどで良く言う腸内フローラなどはこんなにも昔から存在しているわけで身体を構築する上でやはり軽視出来ない話なのはこれで多少理解して頂けただろうか?!

[バランスの悪い現代人の腸内環境]古代人が主に食べていたのは酸味があって繊維質の多い野生植物と痩せた野生の鳥獣類や魚類などであった。しかし農耕の誕生により人類の食生活に大きな変化が生じこれにより果物や野菜、乳製品などの畜産物、米や小麦のような栽培穀物が主な食糧に変わった。さらに、ここ400年の間に産業革命が起こり人々の食習慣は急速に変化しそして加工食品や過度に甘い高カロリーの食品が好まれるようりその結果、食物繊維があまり含まれず消費期限を延ばすために殺菌された食事が私たちのスタンダードとなってしまったのは残念な話である腸内のマイクロバイオータは人間の食生活の変化にすばやく順応するつまり、頻繁に口にする食物と相性のよい菌種は増加するがそうではない菌種は最悪の場合絶滅してしまうことになる。近年、加工食品や高カロリーの食べ物の摂取が増加したことでかつて狩猟採集時代の食生活に対応していた菌種は絶滅してしまったとみられます。

[受け継がれる細菌と自然その一例として出産を取り上げる]新生児のもつマイクロバイオータは出産方法によって異なってきます。自然分娩で生まれた新生児がまず出会うのは母親の膣と肛門にいる菌であり母親の膣には乳酸菌の一種であるラクトバチルス属の細菌(乳酸菌の一種)が大量に含まれている。また自然分娩で生まれた新生児はビフィドバクテリウム属の細菌(いわゆるビフィズス菌)も多いことが確認されています。一方、帝王切開で出産した新生児の場合自然分娩で生まれた新生児が獲得できる菌をほとんど継承できない。くわえてプロテオバクテリア門(きわめて多くの病原性細菌がこの門に属する)の細菌が多いこともわかっています。

この一例でも分かるように我々人間は知らず識らずに実に大事な目に見えない古来からの生体機能に欠かせない微生物を遠ざけまたそれが原因となり未だ増え続け難病や新たな病気を増やしていくのではないでしょうか?

皆さまもたまにはお腹を触り我々人類が長くお世話になってきた微生物を思い出し身体だけでなく微生物もいたわってみてはいかがでしょうか!